ラクトフェリンの抗ウイルス効果
悪性の細菌もウイルスも、人体に害を及ぼすが、そもそも細菌とウイルスの違いとは何だろうか?
大きな違いは二つある。
その大きさと、感染する場所、この二つに大きな違いがある。
まず大きさでいえば、ウイルスは細菌よりも圧倒的に小さい。だいたい100分の一ほどの大きさである。極小であり、それゆえに、ウイルスは、細胞の内側に侵入し活動する。細菌は、その大きさから細胞内部には入れない。
ウイルスが、なぜ、細胞の内側に侵入するかといえば、細胞の中にある複製装置を利用するためである。これを利用し、自らの分身を大量に複製し細胞の外へ放出、次の細胞へと移っていく。ウイルスはタンパク質合成装置であるリボソームを持っていないので、こうやって他生物の細胞に入り込み、自己複製しなければならないのだ。
さて、ということは、ウイルスは細胞の中に入らなければ、悪さをできないということになる。そこで、ラクトフェリンは、ウイルスに対して、どんな効果をもたらすか。
ラクトフェリンは、ウイルスにくっつく(吸着)することで、ウイルスの細胞への侵入を防ぐ。
例えば、C型肝炎ウイルスの場合、ウイルスの外殻であるカプシドの外側を覆うエンベローブとよばれる脂質二重膜に結合し、細胞への侵入を防ぐ。そのほか、エイズウイルス、ヘルペス、インフルエンザウイルスなどに対しても効果があることが分かっている
ラクトフェリンは、ウイルスの十倍ほどの大きさがあるので、ウイルスは、ラクトフェリンにくっつかれると細胞の内部に入れなくなってしまう。
このように、ウイルスを活動不能にしてしまうのが、ラクトフェリンのウイルスへの効果だ。