「赤いタンパク質」

 赤いタンパク質と呼ばれるラクトフェリン。
 このラクトフェリンには、様々な効果、効用が報告されているが、

 そもそもラクトフェリンって何だろう? 
 
 それを知るには、ラクトフェリンがなぜ赤いタンパク質(レッドプロテイン)と呼ばれているのか、その理由を知る必要がある。


 ラクトフェリンの粉末は、赤みがかったピンク色をしているが、実は、純白の色をしたラクトフェリンもある。
 色の違いは、実はラクトフェリンというたんぱく質に結合したある物質の量の違いで決まっている。

 その物質とは、鉄。 

 つまり、ラクトフェリンというタンパク質は、鉄と結合するたんぱく質、または、鉄を取り込むたんぱく質である、というのが、その最大の特徴なのだ。鉄と結合した割合が多いほど、ラクトフェリンは赤みを帯びるようになる。
 ちなみに、なんで、鉄と結合したら、赤くなるの? って思った人もいるかもしれない。

 それは、錆びる現象と関係している。鉄(金属)は、風雨にさらされ、放置されたまま時がたてば、やがてその表面に錆が浮き出てくる。なら、どうして錆びるのか? それは、酸素と結合、つまり酸化するから。この酸化鉄が錆の原因。
 血液のことを考えてみよう。

 血液は、なぜ赤いのか?

 実は、血液が赤いのではなく、そのなかの赤血球が赤いわけだが、赤血球の仕事はなにか? 赤血球の中にあるヘモグロビンは、酸素を全身に運ぶ重要な役割があるが、実は、この酸素と結合しているのがヘモグロビン
の中にあるヘムという鉄を含んだ物質なのだ。
 だから、赤い。なので、血液も言葉上では、錆びている、と言えるのだ。

 血液(赤血球)が赤いのは、その中に含まれた酸素と結合したヘムの色である。 

 結論として、赤いタンパク質ラクトフェリンはヘム鉄と結合しているので、赤いというわけだ。

 貧血にはホロラクトフェリン 
 
 
 「鉄輸送たんぱく質」

 鉄は、重要な栄養素なので、体内には鉄を運搬するタンパク質がある。それが、

 トランスフェリンだ。

 トランスフェリンは、体内に吸収された鉄と結びつき、鉄を必要としている、臓器や組織へと運搬する役割を持つ。
 ラクトフェリンも、基本的にはこのトランスフェリンの仲間であり、それ以外にも、卵白の鉄結合タンパクである、オボトランスフェリンなどがある。みな、仲間なので、そのアミノ酸構造は、ほぼ同じ。が、ラクトフェリンのすごいところは、

 鉄イオンに対する親和性(結びつく強さ)が、血漿中のトランスフェリンや、オボラクトフェリンなどの、100倍以上高いことだ。

 つまり、ラクトフェリンは、たんなる鉄輸送タンパクというより、鉄を捕獲し、周囲の環境からとりのくことで、その力を発揮する場面が多い。
 実際のところ、鉄は栄養分であると同時に、それがある場所によっては、体内に悪影響を及ぼす物質でもある。
 例えば、細菌。ある種の細菌は、鉄を栄養素として生存している。

 ラクトフェリンは、そういう場所から、鉄を奪い去る。

 ラクトフェリンの抗菌作用は、鉄を奪うことで発揮されるといってもよい。
 
 


 


 「ラクトフェリンストーリー」

 ラクトフェリンが発見されたのは、1939年のこと。北欧デンマークの学者(ゼーレンセン博士)によって、ウシの乳から発見され、赤色タンパク質として報告された。

 分子量約八万の、母乳、涙、汗、唾液などの外分泌中に含まれる、鉄結合性の糖たんぱく質である。

 日本では、ラクトフェリンが、どうやらC型肝炎に効果があるらしいという論文が発表されてから、にわかに注目を浴びるようになった。
 ラクトフェリンは、たんぱく質なので、部品はアミノ酸から形成されている。

 1960年、ヒトとウシの乳より精製されアミノ酸配列が決定された。

 ヒトラクトフェリンは692、ウシラクトフェリンは689のアミノ酸から成っている。鎖状に連なったアミノ酸は、ばね状に巻きながら絡まり合い、二つの左右対称のローブを形成している。このそれぞれ、二つのポケットが、鉄イオン一つずつと結合できる。

 ラクト(乳)中のフェリン(鉄)を結合するたんぱく質ということから、ラクトフェリンと命名された。

 そののち、多くの研究者によって研究され始めたラクトフェリンには、多くの生体作用があることが分かり、多機能たんぱく質として、さらなる注目を浴びるようになり、ラクトフェリンを使った多くの商品も開発され始めた。

 ラクトフェリンは、人にとって、最重要なたんぱく質である。

 母乳には、極めて多くのラクトフェリンが含まれていることを考えれば、そういっても過言ではないだろう。

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