「AGEsとは、一体、何なのか?」

 AGEsは、体のどこにでも溜まってしまう。そして、AGEsが、溜まったままで排除されないと、体は、次第に老化の速度を速める。このやっかいな物質の正体は何であろうか?
 
 AGEsとは、終末糖化産物と呼ばれるもので、体の中で過剰になった糖分や、ある種の脂肪などと結びついた奇形の分子のようなもので、糖尿病や、炎症などと深く関係している物質だ。

 糖分及び、たんぱく質には、多くの種類があるので、AGEsの種類も多様にある。実際には、どんなに健康な人の身体にもこのAGEsは、存在している。ただし、その蓄積量は年齢とともに増加し、糖尿病患者などでは、さらに増加の速度を加速する。
 現代人は、昔と比べて食べ物が豊富にある。特に炭水化物は精製されることで大事な栄養素がそぎ落とされ、糖分と栄養素のバランスが悪い。さらに、スーパーなどには、ぶとう糖果糖液糖などの、速攻吸収性のある糖分が含まれた商品ばかりが目に付く。ぶとう糖果糖液糖で問題となるのは、果糖の方で、実はこの果糖は、

 糖化度が、ブトウ糖のおよそ十倍ほどある。さらに、中毒性がありなかなか満腹感を得られない。つまり、意識的に制限しないと過剰に摂取してしまう。その上、中性脂肪に変わりやすい。インスリン耐性も強いため、血糖値もなかなか下がらない。糖化とは、すなわち、体の酸化であり、老化や病気の原因となるが、この糖化度が高いということは、それだけ、AGEsを大量に生成してしまうことを意味する。

 AGEsには、身体にとっては、不要な物質であるだけでなく、様々な弊害をもたらす。具体的には、免疫細胞の攻撃ターゲットとなってしまうために、身体のあちらこちらで炎症を発生させる。脳内でも、AGEsは、発生するが、その結果、脳とその機能を退化させてしまう原因となる。(アルツハイマー病や、パーキンソン病などの病気との関連が指摘されている)

 つまり、たんぱく質と糖があれば、AGEsは、身体のどこにでもメイラード反応によって、発生してしまうのだ。そして、AGEsの蓄積と拡散が老化を促進する。

「AGEsとラクトフェリン」

 ここ数十年で、AGEsと病気の関係について、多くの研究がされてきたが、AGEsはそれよりはるか以前から、その存在を知られていた。このAGEsを取り出してみると、いつも、そこにくっついている謎のたんぱく質があった。実は、このたんぱく質こそラクトフェリンで、
 
 ラクトフェリンには、不要物であるAGEsを吸着し、排せつする能力があったのだ。

 一般的に、食べ物は、まずペプシンを含む胃液によって、細かく分解される。そのあと、幽門をとおり、毎分およそ三キロカロリーごと十二指腸へ送られていくとされている。そして腸管を通っていく間に、膵液や胆汁によって、それぞれ、たんぱく質、糖質、脂質が消化吸収されていく。この段階で、食べ物由来で形成されてしまったAGEsがラクトフェリンと吸着すると、ラクトフェリンはそのポケットにAGEsを捕獲したまま、排泄されることになる。つまり、
 
 食事と一緒にラクトフェリンを摂る習慣を作れば、余計なAGEsの体内への蓄積が抑えられる、ということだ。

 さらに、ラクトフェリンには、AGEsの生成を邪魔する働きである生成阻害や、AGEsを破壊する作用などもあることが分かってきている。
 これが、ラクトフェリンのAGEsを減らす力だ。

 参考文献「アポラクトフェリンのすべてがわかる本」