「活性酸素とは、一体、何なのか?」

 最近、よく活性酸素という言葉を聞くが、活性酸素とは、そもそもどういったものなのか? 言葉からだけ推測してみると、なにか力強いイメージさえ抱かせるが、一般的には、活性酸素は悪者扱いされているのが実情である。
 つまり、活性酸素は、体にとって一種の毒素であると。それは、一面では正しいが、一面では間違っている。

 活性酸素は、ある場所では悪者であるが、ある場所では正義である。また、あるレベルの量までは正常だが、あるレベルを越えると異常事態となる。さらに、その種類によってよいものと悪いものに分かれる。

 どういうことか? 人間は、酸素を吸う。酸素は、細胞の発電機関ミトコンドリアによってエネルギーに転換される。そのとき、約2%ほどが、活性酸素として体内に発生する。さて、この活性酸素にはいくつかの種類がある。よく勘違いされるが、フリーラジカルと活性酸素は全く同じものではない。
 活性酸素には、主に、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素などがあるが、このうち、スーパーオキシドとヒドロキシラジカルがフリーラジカルである。

 そして、活性酸素のうち、このフリーラジカルに属する活性酸素こそいわば、真の悪役なのだ。

 さて、フリーラジカルは、細胞を傷害する。その原理は、他の物質から電子を奪う行為、つまり、酸化によってだ。フリーラジカルは、不対電子を持っている。簡単に言うと、あるべき電子が足りない。欠落しているので、それを埋めようとする。自らが安定するために、他から電子を奪い、安定しようとするのだ。電子を奪われた生体物質は傷つき、自身の欠落を埋めようと、自らがフリーラジカルになってしまう。そして、連鎖が始める。奪われたものは奪い、奪われたものは、また奪いの連鎖が始まるとやがて、細胞はその生体機能を果たさなくなる。
 この連鎖を止めるのがいわゆる、抗酸化物質と呼ばれるものだ。フリーラジカルスキャベンジャーだ。
 
 つまりこれは、体内で活性酸素被害が、どんどん拡大していっている状態だ。その量と作用により異常事態がおきてしまう。
 

 そんな活性酸素であるが、ごく普通のレベル、生理的状態では、必要不可欠な物質である。なぜなら、活性酸素のうち過酸化水素は、好中球やマクロファージなどの武器になるからである。彼らは、過酸化水素を用いて、細菌など外敵と戦う。
 ちなみに、癌細胞も、この過酸化水素に弱い。癌細胞は、過酸化水素を分解する酵素を通常細胞よりもっていないので、過酸化水素は癌細胞を傷害する。通常細胞はカタラーゼなどの抗酸化酵素が豊富なので、ほとんど被害を受けない。
 さて、最後に、体内には、活性酸素があってはいけない場所がある。その最も重要な器官は眼だ。ここに、活性酸素が生じると、あっという間に角膜を傷つけ、目を傷めてしまう。あってはならない場所には、あってはならない。
 このように、一言で活性酸素といっても、その種類、場所、量が問題になってくる。では、ラクトフェリンと活性酸素との関係は、どういったものなのだろうか?

「ラクトフェリンと活性酸素」

 活性酸素には、いくつかの種類があると述べた。そして、悪役になるのがその中で、フリーラジカルとよばれる不対電子をもった活性酸素である。この活性酸素は、他の生体物質から電子を奪おうとする。この行為は、一般的に酸化と呼ばれるもので、酸化された物質は痛む。
 さて、フリーラジカルには、スーパーオキシドとヒドロキシラジカルがある。このうち、

 ヒドロキシラジカルこそ、最恐のフリーラジカルである。

 人間の身体の約70%近くは水分によって構成されるが、この水が放射線などにさらされると水素イオンとヒドロキシラジカルに分かれる。水素イオンには、有毒性がないが、ヒドロキシラジカルは活性酸素のうち、最も化学反応しやすい。つまり、相手から電子を奪おうとする力が強い。
 さらに、このヒドロキシラジカルが、最も恐いと考えられるのは、
 
 このフリーラジカルを分解する酵素を細胞は持ち合わせていない、ということだ。

 過酸化水素はカタラーゼによって分解される。スーパーオキシドは、SODという酵素で分解される。分解されれば無害になる。けれど、ヒドロキシラジカルを分解する酵素は存在しない。
 このヒドロキシラジカル、一体、どうやって作られてしまうのか?

 それは、過酸化水素と鉄が結びつくことによって、だ。

 本来は、免疫細胞の武器にもなり、それがある場所によっては有益な過酸化水素であるが、鉄と結びつくとヒドロキシラジカルになってしまうのだ。

 ラクトフェリンは、そんな凶悪な活性酸素が生まれてはいけない場所で鉄と結びつくことで、ヒドロキシラジカルの発生を阻止する。 

 これが、ラクトフェリンの対活性酸素能力だ。