ラクトフェリンの慢性関節リウマチに対する、痛みの抑制効果について

 書籍、「免疫力を鍛えるラクトフェリン」において、ラット実験におけるラクトフェリンの、痛覚過敏反応の抑制効果が報告されている。それによると、ラクトフェリンが、関節炎の特効薬である、ステロイドとほぼ同効果の作用があると示されている。
 しかも、ステロイドが、耐性により増量しなければならず、さらに副作用も強いというマイナス点があるのに対し、ラクトフェリンは、副作用はなく、効果もステロイドと同等とのことである。

 このことについて、考えてみた。まず、関節リウマチは、自己免疫疾患の一種で、自己免疫疾患の中では、最もおおい疾患であると言われている。自己免疫疾患は、自らの組織に対し抗原反応が起こり、自己抗体が作られてしまい、自己組織を傷害するという疾患、簡単に言ってしまえば、免疫システムの暴走、または、免疫システムの混乱ともいえる。
 ステロイドホルモンとは、すなわち副腎皮質ホルモンのことで、コルチゾールと呼ばれている。副腎から産生されるこのホルモンは、ストレスホルモンとも呼ばれ、鎮痛効果も持っているが、一方では悪玉ホルモンとも呼ばれるほど、その量のバランスが崩れると身体に甚大な被害をもたらす。
 副腎皮質ホルモンが、リウマチに効果があることは、1949年に知られていて、アメリカの医師、フィリップSヘンチによって、合成されている。リウマチの特効薬としてもてはやされたが、致命的な副作用があることがのちのち、分かってきていた。
 つまり、ステロイドには、強い鎮痛効果があるが、副作用が強い。ラクトフェリンは、ステロイドと、同じほどに鎮痛効果があるとすると、その作用機序はどのようになっているのであろうか。そこで、考えたことが、ラクトフェリンは、混乱および暴走した免疫システムに何らかの作用をすることで、自己抗体を減少させているのではないだろうか?
 リウマチは、自己抗体の攻撃によって痛みが生じているので、その自己抗体の産生が抑えられれば、当然、痛みも減少することになる。
 免疫システムには、基本、バランスによって成り立っている。システムが暴走しないように、興奮している免疫細胞を抑制する免疫細胞の存在もある。このバランスが崩れることが、自己免疫疾患につながると考えられるので、ラクトフェリンがこの、免疫システムのバランスを整えるたんぱく質であるとすると、やはり、すごい機能性たんぱく質である、と思う。

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