「プロバイオティクスで腸内環境を整える」

 1000種類以上、600兆ほどの腸内細菌が住んでいる大腸は、病気のデパートとも呼ばれている。多種多様な腸内細菌たちは、そこで壮大な生態系を形成していて、それは、腸内細菌叢とも腸内フローラとも呼ばれている。そして、生き物が住む場所では、縄張り争い、環境汚染、生存競争などが起こるのは、ミクロの世界でも同じなのだ。大腸の環境汚染とは、どういうことか?

 それは、生体にとって、好ましくない生成物が腸内細菌によって生成されることだ。そして、それは、いわゆる悪玉菌と呼ばれる腸内細菌によって生み出される。逆に、善玉菌は、生体にとって好ましい物質を、その発酵の過程で生成する。

 腸内細菌には、いわゆる善玉菌、日和見菌、悪玉菌が一定の比率で存在していて、このバランスが崩れると病気になると考えられる。昔と比べて、現代人は、はるかに糖分の過剰な生活に偏っていて、この糖分過多は、糖尿病だけでなく、腸内細菌のバランスさえも変えてしまう。
 ある実験があった。それは、食生活を極端なものにしてみると腸内細菌のバランスは、どう変わるかという実験で、炭水化物の過剰な生活、つまり、炭水化物が過剰で、タンパク質や野菜をほとんどとらない食生活を続けた結果、たったの一週間で腸内細菌叢が変わってしまったのだ。
 腸内細菌叢の中で、主軸となる大きなグループが二つある。それは、バクテロイデス門と呼ばれるグループとフィルミクテス門と呼ばれるグループである。この二つのグループが、腸内細菌の約90パーセントを占めると言われている。

 そして、この二つのグループのバランスが壊れると、肥満体質になる。さらに、糖尿病などにも悪影響を与える。

 炭水化物過多、つまり、バランスの悪い食事でこの二つのグループのバランスがどう変わってしまうか? それは、バクテロイデス門の細菌が少なくなり、フィルミクテス門の細菌が増えるのだ。フィルミクテス門の細菌は、食べ物からカロリーを多く取り入れる性質を持っている。それは、身体がより多くのカロリーを吸収するということだ。それに比して、バクテロイデスに属する数種類の細菌は、食物繊維などを細かく分解し、天然のやせ薬とも言われている短鎖脂肪酸などを多く生成しているのだ。
 どのような食べ物を習慣的に食べるかによって、健康的だった腸内フローラも変化してしまう。それは、すなわち、何を食べるかの習慣を良いものにすれば、良い腸内細菌叢を取り戻せる、または、維持できるということだ。

 その代表的な食べ物、それが、プロバイオティクスだ。

「プロバイオティクスとは何か?」

 プロバイオティクスは、1989年、イギリスの微生物学者、フラーによって提唱された概念で、腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に有益に働く生きた微生物と定義されている。具体的には、生きた菌が含まれるヨーグルトや、納豆などがそうだ。
 有用菌とも呼ばれ、常在菌に対して定着しにくいので、一時的に健康状態に影響を与える通過菌でもある。当然のことだが、人の腸内細菌叢は、指紋のように個人個人で違っている。その構成割合は、だいたい五歳ぐらいまでに決まり、その後、ほぼ変わることはない。が、重要なのは、

 その腸内細菌叢の割合が、少しだけでも変化すると、良くも悪くも健康に影響するということだ。つまり、プロバイオティスを習慣的に摂取していれば、それだけ、腸内細菌叢のバランスが良好に保たれるということになる。

 ただし、常在菌と通過菌にはそれなりの相性がある。自分に合ったヨーグルトを見つけることが大事だというのは、この人それぞれの腸内細菌叢にマッチしたプロバイオティクスであるかどうかが重要である、ということだ。例えば、健康に良い食べ物でも、食べ合わせが悪いと下痢をしてしまう、というようなことに似ている。

 だから、まずは、自分に合うプロバイオティクスを見つけて食べる習慣を作ること。そして、次に大事なのは、通過菌でもある程度、定着させるために、プレバイオティクスも摂取するということだ。

「腸内細菌を育てるにはプレバイオティクスが必要」

 プレバイオティクスは、1994年にイギリスで提唱された概念で、大腸の特定の細菌を増殖させることなどにより宿主に有益に働く食品成分と定義されている。つまり、有用な腸内細菌の餌を摂取しようということだ。具体的には、オリゴ糖や食物繊維類などがこれに当たる。
 プレバイオティクスがおろそかであれば、いくらプロバイオティクスとして、有用な菌を取り入れても、効果が薄いし、また常在菌のバランスも良くならないということだ。
 例えば、肥満の人の腸内で多く生息している菌にアリアケ菌という腸内細菌がいる。この菌は、DCAというガン誘発を導く物質を生成する、一種の悪玉細菌である。そして、この菌の好物は高脂肪な食べ物なのだ。

 肉ばかり大量に食べて、野菜を摂らない生活を続けていると、このアリアケ菌のような腸内細菌が増えていくということだ。逆に、オリゴ糖や、食物繊維などのプレバイオティクスは、善玉細菌の餌となるのだ。

 プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせたものが、シンバイオティクスで、これは、有用な菌と有用な菌の餌を同時に摂取しましょうという、考え方だ。畑に種を植えたら水や肥料を上げなければならないのと、同じ理屈だ。
 ラクトフェリンは、腸内のビフィズス菌などを保護し、育てる力もあるので、ラクトフェリンとともに、有用なシンバイオティクス習慣を作るのが、腸内環境改善には有効だろう。

 ↓腸内環境改善におすすめの、プロバイオティクス入りラクトフェリン

 腸の力であたたは変わる、という著書の中で、プレバイオティクスとされる炭水化物を100グラム摂取するごとに、およそ30グラムの細菌が生まれると述べられている。また、この本の中には、推奨のプロバイオティクス五種が書かれている。腸内細菌の種類は極めて多彩で、その生成物の効果も様々なので、自分の症状、または、どうなりたいかという目的に合わせてプロバイオティクスを選ぶのが良いだろう。

ライオン ナイスリムエッセンス ラクトフェリン+ラブレ 93粒入(約31日分)

 一日摂取量、三粒にラクトフェリンが300mg含まれているので、かなり多いほう。ラブレ菌は、正式名ラクトバチルスブレビスで、腸の力であなたは変わるで推奨されている、プロバイオティクスの一つである。乳酸菌には、植物性と、動物性があるが、ラブレ菌は植物性乳酸菌で動物性よりも酸に強く生き抜く力が強いと言われている。ラブレ菌は、京都の三大漬物の「すぐき」から発見された菌で、NK細胞を活性化させるインターフェロンを作ったり、キラーT細胞を活性化したり、脳の栄養素BDNFの分泌を増加させたりなど、様々な効用で注目されている菌だ。

ビフィズス菌 乳酸菌 どっさりクレンズ 30日分

 この商品は、プロバイオティクスが主役で、ラクトフェリンがおまけという感じ。ラクトフェリン、オリゴ糖配合で、プレバイオティクスの扱いなので、ラクトフェリンの量はあまり多くないと思われる。その代わり、とりあえず、いろいろなプロバイオティクスを試したいという方におすすめ。三兆個、24種の乳酸菌および、ビフィズス菌が含まれているので、どれか一つくらいは自分に合うプロバイオティクスが見つかるかもしれない。
 注目は、ビフィズス菌のビフィドバクテリウムラクティス、ビフィドバクテリウムロンガム、乳酸菌のラクトバチルスプランタラム、ラクトバチルスアシドフィリスだ。これらは、腸の力であなたは変わるで推奨のプロバイオティクスで、それぞれに、特徴的な機能がある。
 Bラクティスは、消化機能の改善や、GABAなどを産生し、血圧降下作用を促す、免疫機能を高めるなどの効果。Bロンガムは、乳糖耐性の改善や、PH濃度の調整など。Lプランタラムは、オメガ三脂肪酸やビタミン群、抗酸化物質などの重要な栄養素を吸収して維持するというすごい菌で、人に欠かせない細菌である。Bアシドフィリスは、小腸内で病原菌と戦う多くの有益な物質を産出したり、消化酵素のラクターゼや、ビタミンKなどを産出する。その他もろもろで、プロバイオティクスの福袋という感じ。